※本ページは百合小説短編集「学校のプールにはイルカがいる」のネタバレを含みます
今回の小説本について
私の中で今回の本は「夜明けの行き先」に近い雰囲気で、原点回帰で文章を書いてみよう、という思いがありました。一次創作を始めてから約2年ほど、自分って何が書きたいんだっけ、とか、何がしたいんだっけ、という気持ちが大きくなる中で、もう一度書きたいように書いてみよう、と考えながら生まれたのがこの本です。そのため、WEB投稿作品の再録ではなく、ほぼすべてのお話が書き下ろしになっています。
とはいえ、とっかかりもなく書くのも難しいと感じていたので、「水(水分)」から思い浮かべたキーワードをもとに綴ることにしました。以下に、それぞれのお話で使ったキーワードを記載しています。
各話の解説
学校のプールにはイルカがいる
キーワードは「プール」。
イルカのように上手に泳ぐ子に、水中でおぼれかけた子が助けられるシーンから着想しました。
主人公が中学生なので、できるだけ簡単な言葉で、しかし平凡にならないように心がけてみたのですが、けっこう難しかったです。このあたりは児童文学を読んでみると何か勉強になるかもしれない、なんて漠然と考えています。
はじめての雨
キーワードは「ペットボトルの水」と「雨」。
最初に着想したのはペットボトルの水を「間接キスじゃん」というシーンから。
今まで私は恋愛ものを書くとき、はっきりとした恋愛感情の明示を避けていたのですが、久しぶりに「告白する→付き合う」という、ハッキリとわかりやすいパターンで書いてみました。
ファーストキスシーンとか結構ノリノリで書いていたので、「やっぱり私ってそういうのが好きなんだろうな……」と自分の性癖を受け入れる覚悟を決めようとしています。
暗闇をくぐる
キーワードは「海」。
船旅が好きなので、そのシーンを書いていみました。モデルはさんふらわあです。
これまで百合小説を書いていく中で、同性愛について、そしてそれらを取り巻く根強い差別意識や無関心さを知り、伝えたいと思ったことも本作に描き込まれています。
「創作」の世界に現実問題を持ち込むな、という意見が一時期盛り上がりましたが、私は明確にその意見に反対します。その意見に対する私なりのアンチテーゼ。女性同士の恋愛をテーマに小説を書く以上、当事者の存在を無視するようなことをしては絶対にいけない、と、私の意見を改めて表明するための作品です。
あっけらかんとした性格の二人、軽い雰囲気でありながらも、心の奥に潜んでいる重たい感情を描こうとしました。ただ、やはり重たくしすぎる、あまりにも不幸で後ろ向きな展開は好みではない(でも軽すぎると嘘っぽくなる)ので、そのバランスは今でも手探りです。
動き出す
キーワードは「雲」。水分が雲になるので。
あまり着想はなく、もう一話くらい増やそうという思いで書き始めました。空港とか飛行機が好きなので、空港を舞台にしたお話になっています。
「暗闇をくぐる」から一転して、こちらはもっと清々しく前を向くような、別に何も問題が無いはずの主人公が「あっ、何も問題なかったんだ」と気づくような、そんなお話に仕上げました。
もう一度
キーワードは「点滴」。
着想したシーンは夜の病棟で看護師さんが点滴を交換するシーンからで、全身麻酔の手術で親知らずを抜いた時の体験をベースにしています。
もともとはひとつのお話になる予定だったのですが、大きく広げることができなかったので、短編集らしく(?)最初のお話とつなげる形にしました。
ここまで書くと陸希と彩海の二人はなんだか愛着が湧いてしまったので、また中編や長編を書いてみたいな~なんて思っていたりします。
今後のこと
noteに投稿した通り、少しだけ活動休止(縮小)を予定しています。
本当は「夜明けの行き先」の全面改訂や長編に着手してみたかったのですが、プライベートでのイベントに体力と時間を割きたい状況になりまして……。
稼働を始めたエブリスタの投稿をもう少し充実させたいのと、来年の文学フリマ京都の作品は何かしら作りたいな、とは考えています。
創作を止めるわけではないので、引き続き応援いただけますと幸いです。